釣りは危険なスポーツ?(その2)



私とTさんはボートの上で、まだ他愛もない話をしていた。

でも私は背中から来る「滝」の圧力が、徐々に増しているのを

感じていた。最初は気にも止めていなかったボートの中の水が、

少しずつではあるが増えている。

その水が15センチぐらい溜まったときだろうか。


 


「ちょっと水が入ってきましたねぇ。Jさん悪いんですけど、

水をこれでくみ出してもらえます?」



Tさんはプラスティックの小さな容器を私に差し出した。

わたしがそれを受け取ろうとしてボートの中央に移動したとたん、

大きな波がきた。「ザンッ」という鈍い音と共に大量の水が

入ってきた。





まずい!




私は真剣になって水をくみ出したが、

でもそのプラスティックの容器、小さすぎっ!

(でも何の容器だったのか、実は今でも思い出せない。)

多分1回あたりに1Lもくみ出せない。

波は容赦なく入ってくる。



くみ出す(-1)、水が入ってくる(+3)、くみ出す(-1)、

水が入ってくる(+4)、くみ出す(-1)、

水が入ってくる(+6)、水が入ってくる(+8)






 





って、全然減らねーじゃん。



あっという間に、ボートの半分くらいまで浸水している。


 


 


「や、やばいっすねぇ。」

Tさんもさすがに余裕はなくなっている。

Tさんも一緒に水をかき出し始めた。でもこれだけ水が入ってくると






水の重みでボートが下がる→ボートが下がれば

当然水が入りやすい。



ここからは加速度的に水が入り始めた。


 


 



くみ出す(-1)、水が入ってくる(+10)、

くみ出す(-1)、水が入ってくる(+15)、

くみ出す(-1)、水が入ってくる(+23)、水が入ってくる(+34)




見渡せば、ボートの80%に水が入り込んでいる。


こうなるとさすがに饒舌のTさんもパニックだ。


 


 



「ああ、やばい、Jさん、もうちょっと頑張って。うわ、やばいやばいやばい、まじでやばい。おわっ、また入ってきた。これやばい。ああもうっ、やばいやばいやばい。ちょっと、もう、うわ、やばいやばいやばい・・・・」











「やばい」を何回言ったか数えたかったが、

そんな余裕はない。






ボートの一番高いへりの部分が水面下に消えていくのを見るのは、

はっきりいってかなりの恐怖だ。次の瞬間、ボートは横転。

「底なし沼」に落ちていくのに似た感覚と共に、

私とTさんは冬のオークランドの海に放り出された。(まだ続きます。)

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