Dさんのこと(前編)


記憶が風化する前に、Dさんのことを記しておきたい。


私が今の会社に入ったのが、2年半以上前。そのとき一際「目立っている」男性が一人いた。それがDさんだ。


一応うちの会社はソフトウェアの会社なので、営業の人はともかく、開発やオペレーターのメンバーは比較的若い人が多い。私のような40代はもうすっかりオッサンの部類で、事実日々変化するソフト仕様やら新機能やらに頭がついていかない自分に、ほとほといやになる時がある。それも英語で、ということなのでなおさらだ。


なぜDさんが目立っていたのかというと、その年齢である。あきらかに60台半ば、あるいはそれ以上という風貌で、失礼な話昨年亡くなった私の父親とそれほど見た目も変わらない。もうとっくにリタイヤしていても全くおかしくない年回りだ。しかもこういうコンピュータを使用する職種・・・本人も大変なはずだと思う。最初はその風貌から、「嘱託」社員のようなパートタイマーかと思っていた。


ある日私に回ってきた仕事で、あるソフトをファイル転換するために使用する必要があった。でも私はそのソフトをそれまで使ったことがなかったのでマネージャーに聞いてみると、「Dさんが詳しいから、やり方教わってね。」とメールが来た。


時間を取ってもらってDさんのモニターを横で見ながら、使い方を教えてもらうことに。失礼な話だけどこれぐらいのお年の方が、どれくらいPCを使えるのかな・・・と正直少し懐疑的な気分だった。私の両親を思い浮かべると、そう思わざるを得ない。


そんな心配をよそにDさんが「じゃあ始めようか。」 キーボードの上にゆっくりと手を置いた。そして次の瞬間・・・




カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ・・・




一糸乱れぬものすごいスピードと正確さでキーボードを打ち始めた。3つのアプリケーションをAlt + Tabで次々に替えて数字を見
ながら、必要な場所に入力していく。


「えっと、この数字を拾って、ここに入れてエンタ。そしたらこのアプリケーションへ行ってこの数字と一致するか確認して。そしたら次に・・・」


半分あっけにとられている私を尻目にどんどん進んでいくので、たまらず「すいません、もう一回やってもらえますか?」・・


なんとか一通り教えてもらったあと、聞いてみた。「このソフト、長く使われているんですか?」Dさんは、「ああ、これね。このソフトはもともとオーストラリアで作られたヤツでね。この前身のヤツを80年半ばくらいから使ってたよ。」


バリバリのDOS時代から20年以上も・・・ここでようやく理解できた。Dさんは明らかに「会社が必要とする人材」だった。「嘱託」?何て失礼な!!バリバリのフルタイムワーカーである。


そうは言ってもさすがに「お年」のせいか、ここのところ休みがちになることが多くなった。彼にダウンされたら、それこそ会社にとっても大きな戦力ダウン。こういう人ほど生涯現役で頑張っていただきたい。なんともカッコイイ存在ではないか。


(後半へ続きます。)

スポンサードリンク

テーマ : ニュージーランド
ジャンル : 海外情報

コメントの投稿

非公開コメント

jayjaysさん
こんばんは♪pontaroです。^^

Dさんって、
とっても、すごい方だったんですね。^^

ホント、カッコイイですね♪^^
プロフィール

jayjays

Author:jayjays
日本で長いこと銀行員やってました。退職して気がつけばオークランド15年目、現地IT企業で働く「脱力系」サラリーマンです。最近の趣味はKindleを使い倒すことと、ジム通い。ご質問・コメントお気軽にどうぞ。

カテゴリ
Twitterにて、つぶやき中。
下のアイコンから、ご自由にフォロー願います。
最近のコメント
RSSフィード
リンク